爪について
・爪は皮膚や髪と同じケラチンというたんぱく質でできています。
・手の爪は成人で1日で約0.1㎜伸び、半年から1年で全体が 生え変わります。 足の爪の伸びる速さは手の約半分と遅く、生え変わるのに1~2年かかります。
・爪を傷つけたり、爪の病気になったりすると、きれいで健康な爪になるまでに長い時間がかかります。
爪の役割
・爪は指先の形を整えたり、感染を予防したりしています。爪があることで触覚が鋭くなるため、爪は 感覚器の補助的な役割を果たしています。
・手の爪があることで細かい作業をするときに力の入れ方を微妙に調節できます。 足の爪は体を支え、踏み込む力を強くする役割があります。
・内臓などの病気があって爪に変化があらわれることがありますが、変化があるからといって、必ずしも病気であるとは限りません。
色の変化
白色の爪: 貧血、肝臓の病気、腎臓の病気 など
黒色の爪:腎臓の病気、ホルモンの病気 (アジソン病) など
黄色の爪:関節リウマチ、黄色爪症候群 など
赤(褐)色の爪:腎臓の病気、多血症など
緑色爪:・ 爪が緑色に変色し、時に爪の周りに炎症を起こします。爪を押すと痛いことがあります。緑色の色素を作る細菌の感染(緑膿菌)によるものです。
・水仕事をする女性によくみられます。爪がはがれていたり、マニキュアやつけ爪をしている場合、爪との間に隙間ができ、湿った環境を好むので、爪の下に侵入し、繁殖します。
・ 治療はマニキュアやつけ爪を取り、浮いている爪を出来るだけ爪切りややすりで取り除いて、乾燥させます。
形の変化
スプーンネイル(匙状爪、さじじょうつめ)
・ 爪が薄くなり、爪の両側や爪先がそり返ってスプーンのようになった状態です。爪を切る時、爪の両側を丸く切り、短くなると、爪は指の腹に加わる力を支えきれなくなります。指先に力の入る仕事、鉄欠乏性貧血、甲状腺の病気、感染症、乾癬、外傷でもなりやすいです。
・ 幼児は裸足で遊ぶため、足の親指の爪がなることがあります。履物を履いて遊ぶと、自然に正常な爪に戻ります。
ばち状指
・指先が太鼓のばちのように丸く膨らみ、爪の甲が盛り上がります。肺や心臓、肝臓の病気が原因であらわれることがあります。
波板状爪(洗濯板状爪)
・ 爪に横の溝ができた状態です。爪の根元に皮疹や外傷などがあって、爪の成長が一時的に抑えられたため生じます。横筋の位置からいつごろあったか推定できます。爪の根元の皮膚が少し厚くなります。
・ 治療はステロイドの塗り薬を塗ります。爪は根元から次第に治ります。
・ 全ての爪に1本の横筋が現れるのはボー線と言います。発熱、感染症、糖尿病、薬などで生じます。
爪甲縦裂症
・ 爪が縦に割れる状態で、時に先から根元まで割れることもあります。加齢、けが、湿疹、貧血などが原因と考えられます。
爪甲層状分裂症(二枚爪)
・ 爪表面が先の方で薄く剥がれる状態です。原因は爪の水分の低下と爪先への外力によります。乾燥する冬に生じやすいです。鉄欠乏性貧血でも生じます。
・ マニキュア除光液を使い過ぎると、爪の中の保湿成分が少なくなり、爪表面が剥がれやすくなります。除光液の過度使用を避けましょう。
・ 水仕事の多い場合も生じやすいです。手袋を着用しましょう。
・ 保湿剤を塗って予防しましょう。
陥入爪
・ 爪が皮膚にくい込み、爪のまわりが痛くなったり腫れたり 、時に食い込んだ部分に出血しやすいできものができます。親趾に多いです。巻き爪は原因が別ですが、一緒に見られることもあります。
・ 最も多い原因が深爪で、けが、 圧迫、足の変形などによってもおこります。幅の狭い靴を履いたり、ぶつけたり、激しい運動をすると爪が刺さり悪化します。
・爪が指先よりも長ければおきません。爪の切り方が不適切で、多くの人は痛みを和らげるため、爪をさらに短く切ります。一時的に症状を和らげるだけで、爪が少し伸びてくると再発し、重症化します。
・隙間をつくり、爪が皮膚に食い込むのをおさえるために、テーピングや爪の下に乾いたコットンを詰めたりします。ご自宅でも簡単にできます。
・予防は深爪をしないことです。足の爪を切る時に爪の先をちょっとだけ指先より出るように残し、爪を四角く切って下さい。また合わないサイズの靴をはき続けたり、激しい運動をしたりするのもおさけ下さい。
巻き爪
・ 親趾の爪に起きやすいです。窮屈な靴での圧迫や爪水虫が原因です。爪の先が丸く内側に曲がり、爪の下の皮膚をはさむようになり、炎症がおこることもあります。歩行をあまりしないとできてきます。
・ 曲り過ぎている爪を正常に戻すように、爪の先に矯正用のクリップを取り付けたりします。
爪甲剥離症
・ 爪が先の方ではがれ、白く見えます。女性で、手の指の爪に多いです。
・ けが、細菌やカビなどの感染、薬の副作用、慢性的な刺激、マニキュア、洗剤、甲状腺の病気などが原因と考えられますが、原因不明のことも多いです。
点状陥凹
・ 円形脱毛症や尋常性乾癬でみられますが、通常原因なくみられることがあります。点状の凹みが爪の表面みられます。
慢性爪郭炎
・ 爪の根元が赤く腫れ、爪がでこぼこになってきます。爪の表面と根元の間に隙間が出来て、そこに菌が入り込んで起きます。カンジダは湿ったところが好きなカビですから、水仕事の多い人では治療が困難です。
・ 治療は抗カンジダ薬の飲み薬と塗り薬を使用します。水仕事を終わると、手を乾燥させることが大事です。
化膿性爪囲炎 (ひょう疽)
・ 手荒れや、深爪、けがなどが原因で、爪のまわりの皮膚に細菌が感染しておこります。爪のまわりやつけ根が腫れ、膿をもつこともあります。抗生剤を飲んでもらいますが、切って膿をだすこともあります。
爪甲鉤彎(こうわん)症
・ 足の爪がかたく厚くなり、濁り、表面がでこぼこし、曲がっている状態です。
・深爪、老化、抜爪・けがによる爪の欠損、靴の圧迫による不完全な爪の脱落、足の変形などが原因です。親趾に多いです。
・ 趾先の皮膚が盛り上がって、爪はその下にある土台から浮き上がっています。爪が脱落すると、爪がないため趾先が次第に盛り上がり、爪が伸びるのを妨げ、生じます。
・ 爪を削り、平らにすると、日常生活に支障なくなりますが、1年ほどで元に戻ります。抜爪で正常な爪がはえますが、伸びてくると皮膚の盛り上がりに妨害され、同じようになります。
爪甲帯状色素沈着症
・ 爪の黒い縦のすじはかなり多くみられます。お子さまの場合、生後間もなくみられ、一時的に広がりますがいずれ消えます。色調の変化やすじが広がらないかなどに注意しながら経過観察します。
・ 多くの爪に生じた場合は全身的な病気による場合もあります。多くは外からの刺激によるもので、爪白癬や爪カンジダ症、手湿疹によっても、爪の根元にある色素を作る細胞が活性化してできます。原因を除去すれば、数年後には色が消失します。抗癌薬や抗生剤など飲み薬でも生じます。薬の中止で消えます。母斑、圧迫、出血などでもみられますが、爪の外の皮膚まで黒くなっている場合、悪性黒色腫の可能性があります。
爪の切り方
・ 爪は指先の皮膚を保護する役割があります。爪を短く切っていると指先の皮膚ががさがさになったり、ひびわれたりします。爪を長く伸ばすと治ります。爪先の白い部分はすこし残すようにします。
・ 手は爪の下の皮膚がみえない程度で、指に沿って切りましょう。 爪の両端は深爪に注意して少し丸めに整えます。 爪の汚れは歯ブラシでやさしく取ると、爪を傷つけることがありません。
・ 足は爪の先の白い部分は四角い形に切りましょう。白い部分の長さが約1mm残る くらいが理想的です。短く切りすぎない ようにしましょう。手の指と同じように丸く切ってしまうと、巻き爪になってしまうことがあります。
・ 乾燥が気になる場合、爪とまわりの皮膚を保湿しましょう。